tsumiki証券 取締役会長 荒尾 耿介
60を過ぎると、月日の経つのがとても速く感じます。30代の一年が、今は3か月ぐらいでしょうか。そんなあっという間の一年でしたが、今年も色々なことがありました。
日本では大きな自然災害がいくつも。西日本豪雨、台風による関西空港の閉鎖、北海道地震とそれに伴う大規模停電など・・・。被害にあわれた方々には心よりお見舞い申し上げます。
一方、仮想通貨業者のコイン流出事件、一部の地方銀行による不正不動産融資問題など、多くの経済事件もありました。
世界も大きく動きました。特に米中貿易戦争、中国経済の成長鈍化。ヨーロッパでも、移民流入問題とドイツ・メルケル政権の弱体化、欧州中央銀行による資産買入れプログラムの終了、ブレグジットの迷走等・・・。
独り勝ち状態のアメリカでは、その中でも勝ち組のアマゾンやアップルの時価総額が一時1兆ドル(110兆円程度)を超えるなど、好景気を象徴するようなこともありました。
そんな絶好調のアメリカ経済でも、それに満足することのないトランプ政権によるアメリカ第一主義の政策の数々。あらゆる面で、分断と対立が深まる流れでもありました。
今年からつみたてNISAをスタートした方々は、今まであまり気にかけていなかった世の中のこと、世界の動きが気になり始めたのではないでしょうか?投資は世界への心の窓を開きます。当然ですよね。どんなものに投資しても、それは、日々、世界の状況に影響を受けるからです。
私は若いとき、ロンドンで英国の年金と投資信託の運用をしていたことがありますが、その時思ったことは、投資は「森羅万象」です。世の中のすべてのことが投資に関係し、影響するということです。
では、来年はどんな年になるのでしょうか?
人生と同じで、来年のことははっきりとは分かりません。今年と同じで、予測しなかったことがいくつも起こるでしょう。ただその中で、注目すべき流れの変化があります。
日本と欧米の中央銀行は、これまで長年にわたり続けてきた大規模金融緩和・低金利政策を終了しつつあります。特にアメリカは景気が絶好調で、長期金利が上昇トレンドをたどっており、そのペースが速すぎれば、世界の経済と投資にとって大きなマイナス要因になります。
最近時々発生する市場の急落は、それを心配しての動きです。来年もアメリカの長期金利の行方によっては、時折、市場急落局面があろうかと思います。
ただ、投資や経済の世界の常としては、良いことが永遠に続くことはないし、悪いことが永遠に続くこともないということです。「禍福(かふく)はあざなえる縄(なわ)のごとし。」良いことと悪いことは交互にくるから、有頂天になったり、落胆しすぎたりは禁物です。右往左往せず、腰をすえて落ち着いて対応してゆくことが重要だということです。
「長期投資」と「つみたて」の精神を忘れてはいけません。悪天候でチカラを発揮するのが長期・つみたて投資と心に決めて、しっかりと継続していって頂ければと思います。