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アクティブファンドのいろいろ・・・② 「分散」について

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↓前回の内容はこちら

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突然ですが、「分散→リスク低減→安心」という考えから、株式の投資信託にはとにかく数多くの企業の株式が含まれているものが良いと思われている方がいらっしゃったら、少し注意して今回のブログを読んでいただきたいと思います。

 

          

もしもあなたが神様のように未来を正確に予測する能力があるのならば、あなたは何に投資するでしょうか。答えは、今買える株式の中で、長期に最も成長する企業の株式ではないですか? 例えば30年ほど前のファーストリテイリング(ユニクロ)やソフトバンクのような・・・。アメリカならば、アップルやマイクロソフトのような会社の株式に投資していれば、市場全体(インデックス)を遥かに上回る投資成果を得ることができました。

 

          

しかし、神様ではない私達は未来を正確には予測できず、後になって「投資しておけばよかった」と後悔します。そこで、アクティブファンドの運用者は「未来シナリオ」を作り、「調査」で裏付けをとり、長期的に大きく成長する可能性の高い会社を幾つも選び出し、一点集中ではなく「分散」して投資します。実際、筆者がファンドマネジャーとして働いていた当時、これらの会社の株式は、時価総額はそれ程大きくないのに、ある程度高い組み入れ比率で同僚の運用するアクティブファンドに組み入れられていたのを思い出します。

 

アクティブファンドでは長期的に大きく成長する可能性の高い会社を発掘し、運用チームの自信の度合い(「確信度」と言います)によってポートフォリオへの組み入れ比率を調整します。当然、確信度の高いものは高い組み入れ比率となります。ただここで前回お話しした、インデックス(市場指数)との比較によるリスク管理が必要になります。つまり、長期的に大きく成長しそうな会社は時価総額がまだ小さく、そういったものばかりでポートフォリオを組み立ててしまうと、例えば数か月といった特定の期間内では、時価総額の大きな会社の値動きに左右されるインデックスとは全然違ったパフォーマンスになってしまうのです。特にインデックスが上がっているのに、ポートフォリオが値下がりする場合は、投資家は少し不安になってしまいます。

          

           

そこで実際のアクティブファンドでは、長期的に高成長が見込める会社ばかり組み入れるのではなく、高成長とは言えないまでも安定した利益成長が見込めるのに、株価がそれを十分に反映しておらず、割安と考えられる比較的大きな会社などもポートフォリオに加え、インデックスと真逆の値動きをしないように調整を行います。大体30社程度の会社の株式を組み入れれば、それぞれの株式が短期では逆方向に動くこともあるので、お互いの値動きが相殺し合ってファンド全体の値段のブレが和らぎ、インデックスと全然違った動きをすることはほとんどなくなります。これが株式ポートフォリオにおける「リスク分散」の意味です。「一つや二つ倒産しても、100社も200社も組み入れて分散しているから、1社の比率は小さく、損失も小さい」という考え方ではないことは、ちゃんと理解しておく必要があります。

 

個人の投資家の期限を限定しない長期投資では、長期的に成長の可能性が高い企業をしっかり選んで投資することによって資産を大きく成長させようというのが本来の目的であるはずで、「値段のブレ=リスク、だから分散が必要」と思ってむやみに組み入れる会社の数を増やせば、ポートフォリオに組み入れられる企業は「成長性という観点からは玉石混交」となってしまい、資産運用の本来の目的から離れてしまうことになります。

          

今回は、いわゆる「金融リテラシー」の中に含まれる「値段のブレ=リスク」ということにとらわれ過ぎると、長期投資における本当に大切な「資産の成長性」を見失うことになりかねない、というお話でした。次回は、なぜ資産運用の専門家や学者たちは値段のブレをリスクととらえるようになったかについて考え、個人の投資家が長期の資産形成をする際には、別の考え方でリスクをとらえたほうが賢明なのではないか、というお話しが出来たらいいなと思います。

 

          

 

 

tsumiki no Jii-sama

 

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