tsumiki証券 取締役会長 荒尾 耿介
「バブルらしいけど、今資産形成を始めて大丈夫?」と心配している投資初心者の方々、沢山いらっしゃるのではないでしょうか。そんな方はどうぞ最後までお読みください。
バブルって、そもそも「実体から大きく乖離(かいり)して株価が上がってしまうこと」ですが、コロナの蔓延によるデジタルトランスフォーメーションといった社会・産業構造の変化の加速、コロナワクチンの普及など、「実体」そのものが急激に変化し、今の株価が「実体」の変化を先取りするかたちで、上がっている可能性もあるんです。
でも、今、仮にバブルだとしましょう。
バブルは短期の投資家にとっては、夢のような世界です。何でもいいから、株を買えば、すぐに値上がりして儲かってしまいます。楽に儲かるとなれば、みんながやろうとします。昔から言われる「買うから上がる、上がるから買う」という状況です。短期的に簡単に儲かるので、みんな夢中になってしまって、株価は実体からどんどん乖離していきます。株価の上昇スピードは速まり、早く投資しないとチャンスを逃してしまうと、あせって平常心を失う人も出てきます。
バブルは「はじけてみないと、それがバブルだったか分からない」と中央銀行総裁たちや専門家たちが言うのは、株価が実体の変化を先取りして上がっているのか、それとも実体おかまいなしの楽観の集団心理か、の見分けがつかないからです。
しかし、バブルが終わるときは、なぜか株価がそれ以上上がらなくなってしまい、そのこと自体が、それまで楽観的だった投資家を悲観的にし、バブル下の「買うから上がる、上がるから買う」の反対に「売りが売りをよぶ」結果となります。そして、値下がりの加速が、投資家を大損の恐怖におとしいれます。
株価が大きく下がり出すと、あたかも実体を大きく下回わる値段になったかのように見え始めます。でも、その値下がりは、実体の悪化を先取りしているだけなのかも知れませんよね。バブルは「はじけてみないとそれがバブルだったか分からない」のと同様です。
以上でお分かりかと思いますが、今バブルかどうか分からないし、仮にバブルだとしても、それはいつかはじけて大きく値下がりし、あれよあれよという間に実体以上に株価が割安になる「逆バブル」みたいな状態にもなりうるということです。私は40年以上世界の株式市場を仕事場にしていますが、バブルのピークや逆バブルのボトムを的確に当てることはできませんでした。
株価は実体に比べて割高(バブル)にも割安(逆バブル)にもなり得るけれど、今が割高なのか割安なのかは未来にならないと分からない。それならば、割高、割安を判断しようとせず、こつこつ(タイミングを分散して)長期でつみたてて、企業や経済の成長という長期的な投資果実を自分のものにしてみてはいかがでしょうか?
これこそが、資産形成の王道です!